2019年7月22日月曜日
【この瓦を探せ】 大きな棟瓦 「京箱(きょうばこ)」
台風などで、強い力をうけるとどうしても「はしっこ」の瓦に力がかかって、ズレたり、支障が起こる場合が多いです。
現在の施工で葺かれた瓦は、釘やビス、銅線などで緊結されていますので、地震や台風がきてもそうそう飛んでいったり外れたりしないのですが、
昔の施工方法で葺かれた瓦は、接着剤代わりの土で貼り付けられているだけ
の場合も、正直あります。この施工方法は、江戸時代からのかなり古いやり方なのですが、もともと瓦はそうした「土での施工」と「自重だけで乗っかっているだけでも、雨をふせぐ」機能を持っています。
それがどんどん進化して、
◆ 土を使わなくなったことで、屋根全体の総重量が減った
◆ 瓦同士が繋がったり、釘やビス止めなど、防災対策がかなりアップした
のが今の施工方法です。
それでも、先年の台風のような強い力が加わると、瓦の角や隅、屋根の頂上部分にあたる「棟」が傷む場合は、もちろんあります。
さて、写真はその「棟」に載せる一番上の瓦で「京箱(きょうばこ)」瓦と言います。
京箱の瓦は、棟の高さを極限まで引き上げる「背の高い瓦」ですが、産地によって特徴があります。
◆ 三州の京箱 ・・・基本的に高さはおおむね決まっていて、垂れの部分が6もしくは8センチ程度。(金型による)
◆ 淡路の京箱 ・・・背の高いものと低いものの2パターンがある。最大垂れ長さ9センチ程度。
◆ 四国の京箱 ・・・最も高い形状で、垂れ長さ9センチ越え10センチ程度。
今回調べてほしいと依頼があったのは、写真のかなり背の高い京箱で、淡路もしくは四国品だと思われます。
残念ながら、まったく同一形状のものは現存せず、焼き上げる前の白地(しらじ)を作っていた工房がすでにお辞めになっておられるものかもしれません。
代替品としては淡路もしくは四国品のおなじくらい背の高い京箱は現存しますので、それを利用するのがベターではないかと思います。
各産地とも昔は白地を作る業者さんがたくさんあったのですが、現在はそうしたパーツ、部材の供給元がどんどん減少していますので、
「昔とまったくおなじ形状の現行品」
が入手困難になってきているのも事実です。ただ、腕のある職人さんだと、多少形状が異なっても、すり合わせをしながら雨漏りをふせぐ機能そのものには問題がないように瓦を葺く、納めることができますので、特殊な形状でもまずはお問い合わせくだされば、できるかぎり探すようにします。
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